PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

読書録「ぼくには数字が風景に見える」

「ぼくには数字が風景に見える」 ダニエル・タメット・著 講談社


このタイトルは、比喩的表現では決してない。
著者には、数字が文字通り風景に見えるのだ。
こんなことは、通常の人間には想像もできない。
しかし、著者のタメット氏は「共感覚」という能力があり、
数字を見ると自然と形や色が頭の中に浮かんでくるのだ。
もちろん、数字だけではない。
水曜日や諍いの声は、数字の9と同じで青い色をしているらしい。
こんな不思議な能力を持つタメット氏の手記が本書だ。

タメット氏は1979年生まれであるので、
現在は30歳くらいとまだ若い男性である。
そして、アスペルガー症候群と診断されている。
本書によると、アスペルガー症候群とは対人的相互反応、
コミュニケーション能力、想像力の障害と定義されているらしい。
(つまり、抽象的思考、柔軟な発想、感情移入に問題がある)
自閉症に似ているのだが、言語の発達に遅れがなく
知的障害もあまりなく、ほぼ普通の生活を営むことができるため
診断が難しいとされる。

タメット氏がアスペルガー症候群だと診断されたのは25歳のときだ。
それまでは「ちょっと変わった子供」としか思われていなかった。
平凡だが愛情豊かな両親の支えによって、
タメット氏は素直な好青年に育っていった。
本書の中で繰り返し両親への感謝の言葉を述べているが、
たしかに気難しい子供だったタメット氏を育てるのは
ずいぶん大変なことだっただろうと想像できる。

そんなタメット氏には、共感覚のほかにサヴァン症候群という
病気、もしくは才能がある。
サヴァン症候群の名前は、映画「レインマン」や
日本でも篠田節子の「ハルモニア」が連続ドラマ化されたりしたので
聞いたことがある人も多いだろう。
本書解説によると、サヴァン症候群の人は、
記憶、計算、芸術などの領域において超人的な才能を発揮する、とある。
タメット氏の場合は、計算と語学の天才だ。
数字が色と形を伴って見えることを利用して円周率を暗記し、
オックスフォード大学内で観衆が見守る中、
5時間9分かけて小数点以下22514桁を暗唱してみせた場面は
読んでいる方もドキドキし、暗唱し終えたときは一緒になって喜んでしまうだろう。
(この暗唱は、イギリスのてんかん協会への寄付イベントとしておこなわれた)

知的・言語障害がほとんどないとしても、
タメット氏のようなアスペルガー症候群の人が
通常の生活を送ることは困難を伴う。
彼らにとっては、新しい環境に馴染むのに大変な努力が必要になる。
しかし、タメット氏は高校卒業後、自らの意志で国際的慈善支援団体による
海外派遣ボランティアに応募し、約1年間リトアニアで英語を教えるという、
障害を持たない人間でもためらってしまうような仕事を経験する。
自分の世界に閉じこもりがちだった彼が、
自立に向けて立ち上がった最初の1歩だった。

その後の彼は、サヴァン症候群とアスペルガー症候群について
世間の人に広く理解してもらうために、
テレビ局や研究者に協力している。
TVドキュメンタリー「ブレインマン」は、日本でもNHKで放送されたようだ。
その中で、「レインマン」のモデルとなった
サヴァン症候群のキム・ピークと対面している。
初対面の二人が、すぐに心の深いところで分かり合える場面は印象深い。

現在、タメット氏は彼の特殊な記憶術を応用して、
自身の公式HPで外国語学習プログラムを制作・運営しているということだ。
自閉症など脳神経系に障害がある人はもちろん、
障害を持たない人にとっても役立つよう作られているらしい。
タメット氏の今後の活躍を期待したい。
関連記事
スポンサーサイト

| 読書録 | 21:16 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

うーん、難しいですね。
仕事の関係もあって、統合失調症、アスペルガー等の障害を持たれた方に出会うこともあるのですが、本人さんも、周りの人も・・・模索が続いていますよね。長い目で関係していかなくてはいけないですし・・・・
タメット氏のように能力を発揮でき、環境も整えられていることは、素敵ですね。

| ピース | 2009/04/26 23:23 | URL |

私もこれ、読みました。
アスペルガー症候群の映画でラブストーリーになっている
「モーツアルトとくじら」も興味深いですよ。
実際にモデルとなったアスペルガー症候群の方が監修をされたそうです。
タメット氏は、通常の才能ではなかったとしても恵まれていますよね。
実際、アスペルガー症候群の方で、頭はいいのに、コミュニケーションの問題で
職業につけない方はいっぱいいると思います。
この病気のことがもっと世間でみんなに知られ、理解されるといいと
思いました。

| らずむっち | 2009/04/27 13:36 | URL | ≫ EDIT

コメントありがとうございます!

☆ピースママさん

アスペルガーと一口に言っても、障害の程度はさまざまのようですね。
本書の中でも「自閉症スペクトラム」という言い方が出てきますが、
ほとんど知的障害がみられないタメット氏のような人から、
知的障害・言語障害がみられる人もいるんですね。
やはり、知的障害があると社会で自立した生活を送るのは難しいのだと思います。
統合失調症も同様ですよね。
そういう場合に、社会がどう支えていくのか考える必要がありますよね。


☆らずむっちさん

「モーツアルトとくじら」という映画は初めて聞きました。
実際にアスペルガーである人が監修しているなら、
かなりリアルなストーリー展開になってるんでしょうね。興味深いです。
らずむっちさんの指摘通り、タメット氏は恵まれていると思います。
わたしは「ブレインマン」を見ていないので
実際のタメット氏の言動を見てはいないけれど、
ほとんど言語・知的障害はないみたいですよね。
それに、タメット氏はコミュニケーションの問題や、
新しい環境への過度の不安を抱えているにもかかわらず、
ものすごく前向きでチャレンジ精神を持ってますよね。
これを「恵まれている」と言ってしまってはいけないけれど、
わたしに欠けているものを持っているタメット氏がうらやましいです。
わたし自身、人と接するのが大のニガテで、
物心ついたときから周囲との乖離を感じていて悩んでいました。
(いや、過去形じゃないですね。今もずっとです。)
でも、わたしは多分アスペルガーではないのでしょう。
その境界線がどこにあるのかわかりませんが・・・
タメット氏が世界的に活躍することで、
アスペルガーのことが世間に知られ、理解されるようになるといいですね。

| よつばのかーちゃん | 2009/04/29 20:55 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yotsuba1030.blog92.fc2.com/tb.php/15-5a875b83

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。