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投薬は2ヶ月に一度でOK?

蚊に悩まされる季節になるとお世話にならないといけないのが、
フィラリア予防薬ですね。
昔はフィラリアで死亡してしまうわんこは多かったと思います。
今では薬のおかげでかなり減ってきたのかな?
(うちの周囲ではまだまだ予防されていなくて、
 末期症状が出てから病院に担ぎ込まれるケースがあるようですが・・・)

薬の定期投与でフィラリアに対する脅威が減ると
今度は薬の副作用が気になってくるのは、
わんこ思いの飼い主さんなら仕方がないことかも。
獣医さんは「毎月かならず投薬してください」と言うけれど、
本当に毎月必要なのかな・・・?なんてね。
中には、製薬会社と獣医師とが商売のために薬を売りつけてる!なんて
厳しい意見もあるようだけど、実際のところはどうなんだろう?


フィラリア薬間隔1


わたしがよく参考にしているdog actuallyというサイトで、
「使うリスク・使わないリスク、犬の駆虫剤との付き合い方を考える」という
興味深い記事がアップされました。

使うリスク・使わないリスク、犬の駆虫剤との付き合い方を考える(1)
使うリスク・使わないリスク、犬の駆虫剤との付き合い方を考える(2)
使うリスク・使わないリスク、犬の駆虫剤との付き合い方を考える(3)
使うリスク・使わないリスク、犬の駆虫剤との付き合い方を考える(4)
(本文記事だけでなく、コメント欄も大いに参考になります)

それをもとに、フィラリア予防薬の投与間隔について
できるだけ視覚的にわかりやすいような図を作ってみました。


フィラリア薬間隔2


投薬間隔について語るには、
まずはフィラリアの生態から説明する必要があります。

フィラリアは、L1幼虫(ミクロフィラリア)から成長していき、
L5幼虫を経て成虫になります。

1. フィラリアに感染している動物の血を吸った蚊の体内に、L1幼虫が入り込む
2. 蚊の体内でL3幼虫まで成長する
3. その蚊が犬の血を吸ったさい、L3幼虫が犬の体内に入り込む(フィラリア感染)
4. 感染後3~10日後、犬の体内でL4幼虫に成長する
5. 感染後70日前後、犬の体内でL5幼虫に成長し、血管内に進入する
6. 感染後120日前後、成虫になり心臓や肺動脈に定着する

重要な点は、フィラリア予防薬はL4幼虫にのみ作用し、駆虫するということです。
ほかのステージでは駆虫効果をもっていません。
L4幼虫を確実に駆虫することが大事だということです。

ここで、今年初めての蚊が出現し、犬にフィラリアを感染させるとしましょう。
わたしの住む地域では、4月半ばすぎでしょうか?
(実感としてはもう少し遅いような気がしますが・・・)

それを、上の図のパターン1だと思ってください。

動物病院では、
「蚊が出始めた日から1ヶ月後に投薬を始めましょう」と説明してくれますよね。
そのタイミングを点線で示しています。
蚊が出始めたと同時にフィラリアに感染した場合、
犬の体内ですでにL4幼虫に成長しているので、
投薬により駆虫できることがわかりますね。

ただ、フィラリアに感染するのはいつの時点かは、
実際にはわかりません。
蚊に吸血されても、その蚊がフィラリアを持っていなければ感染しないのだから。
蚊が出るシーズンのうち、
フィラリアに感染する可能性が毎日のようにある、ということです。
それをパターン2以降として示しています。

すると、蚊が出始めてから30日後の投薬で、
パターン5までで感染したフィラリアは駆虫することができますが、
パターン6ではフィラリアはまだL3幼虫なので駆虫できないことがわかります。
そのまま犬の体内にフィラリアは残り、成長を続けます。

2回目の投薬は、蚊が出始めてから60日後ですよね。
パターン6を見てください。
成長したL4幼虫は、60日後の投薬で駆虫できることがわかると思います。

このようにして、犬の体内にいるL4幼虫を定期的に駆虫することで、
フィラリア症を予防するわけです。


フィラリア薬間隔3


前置きが長くなっちゃいましたね。ハイ、深呼吸~

さて、図をよく見るとお気づきになったかと思いますが、
実はフィラリア予防薬を2ヶ月間隔で投与しても、
きちんとL4幼虫を駆虫できるんですよね。
シーズン最初にフィラリアに感染してしまっても、
犬の体内ではまだL4のままですから、60日後から駆虫しても大丈夫なんです。
そして、次は120日後に投与すると、
どのパターンで感染してもきちんと駆虫できるんです。

これが、「投薬は2ヶ月に一度でOK」という理屈につながるわけなのです。


フィラリア薬間隔4


ただし、投薬間隔を延ばすことについて、注意点がいくつかあります。

1. 絶対、投薬し忘れないこと!
 1ヶ月ごとの投薬だと、うっかり投薬を1回忘れたとしても、
 次の投薬でフォローできます。
 しかし、2ヶ月ごとだと投薬スケジュールがタイトなので、
 1週間以上投薬が遅れると、駆虫のタイミングを逃してしまう可能性があります。

2. 確実に投薬すること!
 飲ませたつもりでも、実はあとからペっと薬を吐き出したりしていたら、
 投薬したことになりません。
 フィラリア予防薬は、投薬後4~8時間で体内濃度が最高になるようです。
 つまり、それまでに吐き出してしまっているとダメということ。
 カルドメックやイベルメックのようなチュアブルタイプだと
 ちゃんと食べてくれて吐き出すことは少ないかもしれないけれど、
 錠剤タイプは注意が必要かもしれませんね。

 また、おなかを壊しているときもよくありません。
 腸内の吸収力が落ちていると、十分に薬の成分を吸収できていない可能性があります。
 わんこの体調をよく見て、投薬のタイミングを決める必要があります。

獣医さんが「毎月決まった日に投薬してください」と言うのは、
ひとつは飼い主が投薬日を覚えやすいようにでしょうね。
それと、投薬を忘れたり、成分が吸収されていなかったりする場合があるために、
確実に駆虫できる投薬プログラムが組んであるのだと思います。

でも、本来ならば飼い主が投薬の仕方を選びたいですよね。

わたしは今年から少し投薬の間隔を開けてみようかなと思っています。
いきなり60日間隔はちょっと不安なので、
6週間間隔(42日間隔)にしようかな?って。
毎月だとシーズン中8回投薬するところを、6回に減らすことになります。
そして、重要なのはシーズン最後の投薬です。
ここできっちり駆虫できないと、
来シーズンまでに成虫にまで成長してしまってやっかいです。
わたしは毎年年末近くに最後の投薬をするようにしています。

さて、わたし自身は勝手にこう考えていますが、
獣医さんに小言を言われるかな・・・ドキドキ・・・


< < < < < お ま け > > > > >


デオシート檻1
(とじこめられたー!)


デオシート42枚+4枚の袋が998円で売り出していたGW。
お一人様2袋までだったので、
家族全員で6袋買ってきました。


デオシート檻2
(トイレシートのハウスなんて、かっこわるいな?)


あまりにも大量のデオシートが集まったので、
思わずよつばを閉じこめちゃいました
ちょっと押せばすぐに出られるのに、
なんだかショボーンとした顔で中に入ってましたよ
「出られるから、ホラ、ガンバレ!」と励ますと、
ようやく袋を倒して出てきました。

今までのストックもまだあって、もう押し入れに入りませ~ん!(爆)


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| フィラリア予防薬とシェルティー | 20:01 | comments:16 | trackbacks:0 | TOP↑

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イベルメクチン中毒について(補足)

注)以下の記事は、2008年6月10日に旧ブログに書いたものです。


以前、コリー系犬種におけるイベルメクチン中毒についての記事を書きました。
今回はその補足情報です。
したがって、以前の記事を未読の方は、
先に「イベルメクチン中毒について調べてみた」の記事を読んでください。
(以前の記事はコチラ

以前の記事では、フィラリア予防薬として用いられている
イベルメクチンという成分についてのみ記載しました。
今回は、イベルメクチン以外の成分、
すなわちミルベマイシンオキシムとモキシデクチンについて調べてみました。


スライド10


イベルメクチンを成分としたフィラリア予防薬は、現在いろいろな製薬会社から出ています。
それに対して、ミルベマイシンを成分とした予防薬はミルベマイシンA、
モキシデクチンはモキシデック錠が主な製品となっています。
注)ここで扱っているのは経口投与の予防薬のみです。
注射やスポットオンタイプもあるようですが、経口薬に比べると安全性がまだ確立していないようなので。


スライド11


イベルメクチン、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチンは全て「大環状ラクトン」であり、
化学構造が似ています。
この3つの化学物質以外にも、広く殺虫剤として用いられている成分がたくさんあります。


スライド12

スライド13


大きく分けると、イベルメクチンはアベルメクチン系に属し、
ミルベマイシンオキシムとモキシデクチンはミルベマイシン系に属します。
化学構造が記載されているサイトはコチラ


スライド14


「イベルメクチンとモキシデクチンは化学構造が似ている」という情報は、
ネットで調べているときにあちこちのサイトで見かけました。
ところが、ミルベマイシンも似ているという情報は見かけませんでした。
どうしてでしょうね?

わたしは正確で客観的な情報が欲しかったので、
医学系論文の検索サイトであるPubMedで、イベルメクチン中毒についての論文を検索してみました。
PubMedはコチラ


スライド15


イベルメクチン感受性を示すコリーでは、ミルベマイシンオキシムでも同様の中毒症状が見られたというもの。
イベルメクチンもミルベマイシンオキシムも、通常フィラリア予防で使用される量の10倍以上が用いられています。
フィラリア予防で使用される量では、中毒症状は現れません。
ちなみに、この実験で用いられたコリーのmdr1遺伝子変異については調べられていません。


スライド16


この論文では、通常の30倍量のモキシデクチンを投与しても、中毒症状はみられなかったということです。
この実験でも、コリーのmdr1遺伝子変異については調べられていません。

では、モキシデクチンは完全に安全なのでしょうか?
こんな論文もありました。


スライド17


mdr1遺伝子の変異とモキシデクチンに対する感受性に相関がみられたという論文です。
しかし、ここで用いられているモキシデクチン量は、通常の100倍以上と大変な高濃度です。

これらの論文から考えると、コリー系にはモキシデクチンが一番安全なように思えます。
ただし、絶対確実なことではないので、もちろん投薬には注意が必要です。


さて、イベルメクチン中毒の原因と考えられているmdr1遺伝子の変異ですが、
一体どれくらいの頻度で存在しているのでしょうか?
調べている論文がありフルテキストがダウンロードできたので、データを抜粋してみます。
ちなみに、これはアメリカの研究です。


スライド18


やはり、コリーはダントツに変異の保有率が高いことがわかります。
それに比べて、シェルティーはかなり少ないですね。
中毒の注意が必要な、変異をホモでもつ個体の割合は、100頭に1頭ほどのようです。

この論文では、いろんな犬種のmdr1遺伝子を調べていました。


スライド19


この前の記事では、ボーダーコリーもイベルメクチン中毒の可能性があると書いたのですが、
どうやらボーダーコリーはほとんど可能性がないようですね。

日本でもmdr1遺伝子変異の保有率を調べた論文がありました。


スライド20


調べた個体数が少なく、特定のブリーダー出身とか犬同士が親戚関係にあると
データにバイアスがかかってしまうので要注意です。
それでも、シェルティーを42頭調べて変異をホモでもつ個体がいなかったというのは
シェルティーにおけるmdr1遺伝子の変異は、頻度がかなり低いということをはっきり示しています。


前回と今回の記事をまとめてみると、

1.通常のフィラリア予防で用いる量のイベルメクチンでは、中毒症状を起こす可能性はほとんどない
2.イベルメクチンとミルベマイシンオキシムは、高濃度で投与すると中毒症状を起こすことがある
3.モキシデクチンは高濃度で投与しても中毒を起こしにくい
4.イベルメクチン中毒の原因はmdr1遺伝子の変異と考えられている
5.シェルティーにおけるmdr1遺伝子変異の頻度は低い
6.mdr1遺伝子の遺伝子型は、検査会社で調べてもらうことができる


わたしは自分自身で納得して、イベルメクチン系のイベルメックを処方してもらっていますが、
不安に感じる飼い主さんは、モキシデクチンを処方してもらうのがいいのではないでしょうか?
モキシデクチンよりもミルベマイシンの方が安全だ、という意見がありますが、
今回、この根拠となる理由はわたしには見つけることができませんでした。

イベルメクチン中毒について心配だという飼い主さんは、検査料金がかかりますが
mdr1遺伝子の遺伝子型を調べてもらうのが一番いいと思います。
変異が見つかったときに、あらためて今後の方針などを動物病院で相談されるといいと思います。

いずれにしても、どんな薬でも副作用の危険性は常にあります。
投薬する場合は、万が一のときに動物病院に行けるよう、
休診日の前日や当日の投薬は避けたりする配慮が必要なのだと思います。


今回の記事をまとめるにあたって、いろいろ情報を集めました。
獣医学の専門家に突然メールを送ったりもし、迅速で丁寧な回答をしていただきました。
また、ノバルティス アニマルヘルスと共立製薬にfaxやメールで問い合わせたりもしました。
こちらも丁寧な回答をしていただきました。

しかしながら、イベルメクチン中毒についての基礎研究は驚くほど少なく、
まだまだこれから調べなければいけないことがあるのだなぁと感じました。
人間の病気についての研究には莫大な予算がつきますが、
たかがペットの遺伝病についての研究には、なかなか予算が下りないようです。
また、最近は動物実験に関して世間の目が厳しいために、基礎研究が進まないこともあるようです。
このブログではこの問題については言及しませんが・・・


記事の内容について、間違いや、不正確な記述がありましたら、全てわたしの責任ですのでご指摘ください。



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<わたしのブログ内での関連記事>
イベルメクチン中毒について調べてみた
投薬は2ヶ月に一度でOK?

| フィラリア予防薬とシェルティー | 11:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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イベルメクチン中毒について調べてみた

注)以下の記事は、2008年4月26日に旧ブログに書いたものです。


                    


よつばが病院で処方してもらっているフィラリア予防薬は、イベルメックです。
一昨年はカルドメックでした。
ネットで調べたところ、どちらもイベルメクチンを含む薬でした。

コリーを始め、シェルティーやオーストラリアン・シェパードなど、
一般に「コリー系犬種、牧羊犬」と言われる犬種は、
イベルメクチンに対して重篤な中毒症状を示すことがあり、投薬には注意が必要であると言われています。
わたしも、ネットで読み、イベルメクチン中毒という言葉は知っていましたが、
実際にどのようなものなのか、どうして中毒症状が起きるのかは分かっていませんでした。

よつばが3回目の夏を迎える今、
重い腰をようやくあげて、イベルメクチン中毒について真面目に調べてみました。
その結果、わたしが理解したことをまとめたので、ここに記載したいと思います。

コリー系犬種の飼い主さんはもちろん、それ以外の犬種の飼い主さんも
すでにご存じのことかもしれないですけど、もしよろしければお付き合いくださいね。

今回はよつばの写真なしで、プレゼンのスライド風にまとめてみましたよ。
って、誰にプレゼンする予定もないのにね(笑)


スライド1


イベルメクチンは、普通にフィラリア予防薬として処方される薬の成分です。
コリー系犬種でなければ、何の問題もなく処方されていると思います。
チュアブルタイプの薬が一般的なので、飼い主が投薬しやすいというメリットがあるようですね。
けれど、この成分が重篤な中毒を起こすことがある、といわれているのがコリー系犬種です。
純粋なコリーだと、約80%のコリーが中毒の危険性があると言われているようです。
この数字にどのような根拠があるのかは不明ですが・・・


スライド2


今までの統計から出された数値だと思うのですが、
一般にフィラリア予防として使われるイベルメクチン量では、中毒症状は現れないようです。
「いや、通常のフィラリア予防の量でも中毒症状が出た」という報告もあるようなのですが、
これはその個体にかぎっての、複合的な理由によるものではないかと思われます。
注意しなければならないのは、イベルメクチンはアカラス(毛包虫)などの治療にも使用され、
その投薬量はフィラリア予防より多いということです。
この場合は、治療にイベルメクチンを使用するのか否かを獣医さんと相談することが必要だと思われます。


スライド3


少し前までは、なぜイベルメクチン中毒になるのか分かっていなかったのですが、
現在はmdr1遺伝子の変異が原因であることが判明しています。
コリー系犬種では、この遺伝子が壊れてしまっている個体が多いんですね。


スライド4


大事な大事な組織である、脳などの中枢神経系は、外からの異物から保護されるように作られています。
それが、血液脳関門と呼ばれるシステムです。
通常は血液中に異物・薬物が入ってきても、それが脳にまで届かないようにポンプで汲み出しているのですが、
コリー系犬種ではポンプが壊れて汲み出せなくなっている場合があるのです。
すると、血液中の異物・薬物が脳内に進入してきます。
入ってきた物質が、脳に影響しないものなら問題ないのですが、
イベルメクチンは神経に作用してしまうために、中毒症状として現れるのです。


スライド5


中毒症状を現すのは、イベルメクチンだけではありません。
実は、たくさんの薬物が中毒を起こす原因になるのです。

フィラリア予防に使われるイベルメクチン量であれば問題がなくても、
たとえば愛犬がガンになった場合に治療に用いられる抗ガン剤の多くが、
中毒症状を引き起こす可能性があるのです。
同様に、心臓疾患の治療に用いられる薬や、重度のアレルギー疾患に用いられる薬もです。
つまり、愛犬が病気になっても、薬が使えずに治療できない可能性があるのです。

本当のイベルメクチン中毒の怖さは、ここにあるのかもしれませんね。


スライド6


イヌもヒトも、2倍体といって遺伝子を2つセットでもっています。
イベルメクチン中毒の原因となるmdr1遺伝子も、2つもっているわけです。

2つある遺伝子のうち、2つとも正常なmdr1遺伝子であれば中毒を起こす危険性はありません。
けれど、片方の遺伝子に変異があると、中毒を起こす可能性が少し高まります。
図解で示した、正常なMDR1タンパク質と、変異したMDR1タンパク質が半々に存在するので、
ポンプで薬物を汲み出せる量が半分になっているんですね。
これがイベルメクチン感受性犬です。
そして、2つとも変異していると、重篤な中毒症状を起こす可能性が高いのです(超感受性犬)。


スライド7


コリーであっても、全ての個体がイベルメクチン中毒を起こすわけではありません。
mdr1遺伝子の変異をもっていない個体もいるのです。
では、その遺伝はどうなっているのでしょうか?

高校で生物を習った人は、遺伝について学んだと思います。
たとえばABO式血液型の遺伝とか。いや、やっぱりエンドウマメかな?(笑) それを思い出してくださいね。

正常な個体同士を交配して仔犬を作った場合、当然ながら正常な仔犬しか産まれません。
しかし、感受性犬同士を交配すると、
産まれてくる仔犬は、正常犬と感受性犬、超感受性犬が1:2:1の割合で産まれてきます。
見た目では判断できません。
多量のイベルメクチンを投与して、初めて「このイヌは感受性犬だ」と分かるのです。

でも、中毒を起こしてからでは遅いですよね。
うちのコは大丈夫? mdr1遺伝子の変異はないのかな? 心配になって当然です。


スライド8


イベルメクチン中毒の原因がmdr1遺伝子の変異であることが判明したので、
今では容易に検査で調べることができます。
動物病院によっては検査してくれることもあるようですが、
まだまだ未対応の病院が多いと思います。
そんなときは、民間の検査会社に頼むと調べてくれるようですね。

こんな遺伝子検査、試薬コストだけなら高くても数百円ですむはずですが、
人件費やその他もろもろのためにお高くなってますねぇ。

でも、もし愛犬がガンや心臓病などになった場合、治療の前にmdr1遺伝子の検査をしておいた方がいいかもしれません。


スライド9


コリー系犬種の飼い主が、独自に愛犬の遺伝子検査をするとしても、
やっぱり、できるだけこのような危険をもたない個体を増やしていくことが大事ではないでしょうか?
イヌの繁殖は、イヌが勝手に交配するのではありません。
必ずと言っていいほど、ヒトの手が介在するのです。
原因がはっきりしている遺伝子異常は、できるだけ増やさないよう努力するべきではないでしょうか。
これは、イベルメクチン中毒にかぎりません。

犬種固有の容姿や気質を保存することと同時に、
命をも脅かす遺伝子異常をなくすこと、今の時代ならできるはずだと思います。


以上、イベルメクチン中毒について理解したことをまとめてみました。
間違いや、不正確な記述がありましたら、全てわたしの責任ですのでご指摘ください。

参考にさせていただいたサイトは数多くあるのですが、よくまとまっていて特に参考になったのは
http://homepage3.nifty.com/DEAR-MOSES/DearMoses/note12.htmlです。

また、ヒトのmdr1遺伝子についてなのですが
http://omim.org/entry/171050を参考にしました。


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